転勤辞令以外の理由で地方への移住をする場合、サラリーマンであれば転職という現実問題が見過ごせない。馴染みの薄い地域での転職活動は必ずしも容易とは言い切れず、移住に際してのさまざまな準備と新たに住居を構える地域での求職活動を同時進行でスムーズに進めるためには、綿密な計画を立てる必要がある。とりわけ大都市圏から地方の中小都市へ移住する場合、新居から通勤可能なエリアの求人状況は大きく異なって当然だ。
地方移住後も一定規模以上の企業への転職を希望する場合、勤務先は大都市圏に本社を構える会社の支社、支店、出張所であると考えらる。全国展開の企業であれば転勤の可能性が視野に入るため、家族が理想と描く地方での暮らしが結果的に叶わなくなってしまう可能性もゼロとは言えないだろう。地域密着の企業の場合、その地域の最低賃金を基準とした条件提示となるため、大都市圏と比較して手取り額が低くなると考えておいた方が良いだろう。家族の中長期的なライフプランを含めた金銭感覚面や計画の見直しも必要だ。
次に通勤の足、すなわち交通手段に関しても事前の確認が欠かせない。鉄道やバスではなく、自家用車通勤が必要となる地域では通勤手当の支給方法も都心部とは異なるのだ。また、日常の移動に車が不可欠な地域の場合、もう1台必要となるケースも考えられる。公共交通機関を利用した通勤の場合も電車やバスの本数が少なく、往復に生じる長い待ち時間による長時間通勤が心身の疲労を蓄積させるリスクも想定されるだろう。大都市圏とは違う地方での通勤に関しても、事前の確認作業が大切だ。